【第1章-2】保険料の仕組み|3つの予定基礎率を完全解説

最終更新日:2026年06月29日 | 監修:変額保険資格試験サイト運営者(生保業界実務経験13年)

「なぜ同じ保険金額なのに、年齢によって保険料が違うのか?」「なぜ金利が下がると保険料が上がるのか?」——これらの疑問に答えるのが3つの予定基礎率です。

変額保険試験では、予定基礎率と保険料の関係・純保険料と付加保険料の違い・剰余金の種類が頻出です。具体例を使ってしっかり理解しましょう。

1. 保険料の構成(純保険料と付加保険料)

私たちが支払う保険料は、実は2つの部分に分かれています。

💡 保険料の内訳

純保険料(じゅんほけんりょう)
将来の保険金の支払いに充てられる部分。
予定死亡率と予定利率をもとに計算される
付加保険料(ふかほけんりょう)
保険会社の運営経費(人件費・システム費・代理店手数料など)に充てられる部分。
予定事業費率をもとに計算される

保険料 = 純保険料 + 付加保険料

わかりやすく例えると、純保険料は「積立金」、付加保険料は「手数料」のようなものです。生命保険の場合、純保険料の部分が将来の保険金支払いに備えて積み立てられます(責任準備金)。

2. 3つの予定基礎率とは

保険料を計算するための基礎となる数値を予定基礎率といいます。以下の3つがあります。

予定基礎率 内容 保険料への影響
予定死亡率年齢・性別ごとの死亡率の予測値↑高い → 保険料
予定利率保険料の運用利回りの予測値↑高い → 保険料
予定事業費率事業運営費用の保険料に対する割合↑高い → 保険料

3. ① 予定死亡率

予定死亡率とは、過去の統計(生命表)をもとに算出した年齢・性別ごとの死亡率の予測値です。

なぜ予定死亡率が高いと保険料が高くなるのでしょうか?考えてみてください。死亡率が高い = より多くの保険金を支払う可能性が高い = 多くの保険料を集めておく必要がある、という論理です。

■ 具体例で理解する
30歳と60歳が同じ「死亡保険金1,000万円・保険期間10年」の保険に加入するとします。
60歳の方が統計上死亡率が高いため、保険会社は60歳の契約者により多くの保険金を支払う可能性があります。だから60歳の保険料の方が高くなります。これは給付・反対給付均等の原則(リスクに見合った保険料)に基づいています。

また、近年は医療の進歩により死亡率が低下傾向にあります。これを反映して予定死亡率が引き下げられると、理論上は保険料も下がります。

4. ② 予定利率

予定利率とは、保険会社が契約者から預かった保険料を運用する際のあらかじめ約束した運用利回りです。

予定利率が保険料に与える影響は、他の2つと逆の関係になります。予定利率が高いほど保険料は安くなる——これが試験で最も問われるポイントです。

■ なぜ予定利率が高いと保険料が安くなるのか?
例えば、20年後に1,000万円を支払う約束をするとします。

予定利率が低い(1%)場合:今から多くのお金を積み立てておく必要がある → 保険料高い
予定利率が高い(5%)場合:運用で増えるので、今は少ない積立でよい → 保険料安い

銀行の金利と同じ発想です。高金利なら少ない元本で将来の目標額に達せるため、今の保険料(積立額)が少なくて済むのです。
🎯 実務で体感した予定利率の影響
私が入社した頃(2000年代初頭)は予定利率がまだ比較的高く、同じ保険金額でも今より保険料が安い商品がたくさんありました。その後、日本の低金利環境が続き、予定利率が引き下げられた結果、保険料は徐々に上がっていきました。
「昔の保険は安くてよかった」とお客様からよく聞きましたが、これはまさに予定利率の変化によるものです。

5. ③ 予定事業費率

予定事業費率とは、保険会社の事業運営にかかる費用(人件費・システム費・代理店手数料・広告費など)の保険料に対する割合の予測値です。

予定事業費率が高いほど、保険料に上乗せされる付加保険料が多くなるため、保険料は高くなります。

ネット専業保険会社の保険料が代理店型より安い理由の一つは、人件費・代理店手数料などが不要なため予定事業費率が低いからです。

6. 剰余金(差益)の種類

予定基礎率と実際の数値の差から剰余金(利益)が生じます。有配当保険では、この剰余金の一部が契約者への配当として還元されます。

剰余金の種類 発生条件
死差益(ししゃえき)予定死亡率 > 実際の死亡率(実際の死者が予測より少なかった)
利差益(りさえき)実際の運用利回り > 予定利率(運用が予測より好調だった)
費差益(ひさえき)予定事業費 > 実際の事業費(経費が予測より少なかった)
■ 覚え方のコツ
死差益:「死」の予測が多すぎた(実際はあまり死なかった)
利差益:「利」益が予測より多かった(運用が好調)
費差益:「費」用が予測より少なかった(節約できた)
どれも「予測と実際の差から生まれる利益」です。

7. 実務で見た「予定と実際の差」

生保営業として13年間働いた中で、予定基礎率が変更になるたびに商品改定が行われ、保険料が変わっていくのを目の当たりにしました。

特に印象的だったのは「予定利率の引き下げ」です。日本の低金利が続く中、保険会社は予定利率を段階的に引き下げていきました。その結果、同じ保険金額でも保険料が年々上がっていきました。

お客様から「以前の方が保険料が安かったのに」と言われることが増え、「今加入しておいた方が有利かもしれない」とご説明する機会も多くありました。これはまさに予定利率が保険料に与える影響の実例です。

変額保険の場合、特別勘定で運用するため予定利率の概念は適用されない部分もありますが、基本的な保険料計算の考え方を理解しておくことが大切です。

8. 確認問題(5問)

「チェック!」ボタンを押すと解答・解説が表示されます。

問1.保険料は、将来の保険金支払いに充てられる純保険料と、保険会社の事業費に充てられる付加保険料から構成される。
✅ 正しい
保険料=純保険料+付加保険料です。純保険料は将来の保険金支払いに、付加保険料は保険会社の運営経費に充てられます。この区別は試験の基本です。
問2.予定死亡率が高くなるほど、保険料は低くなる。
❌ 誤り
予定死亡率が高いほど、より多くの保険金を支払う可能性が高まるため、保険料は高くなります。「予定死亡率↑→保険料↑」と覚えましょう。
問3.予定利率が高くなるほど、保険料は低くなる。
✅ 正しい
予定利率が高いほど運用収益が期待できるため、今積み立てる保険料は少なくて済みます。「予定利率↑→保険料↓」は他の2つと逆の関係なので特に注意してください。
問4.実際の死亡者数が予定死亡率による予測より少なかった場合、利差益が発生する。
❌ 誤り
実際の死亡者数が予測より少なかった場合に発生するのは死差益です。利差益は実際の運用利回りが予定利率を上回った場合に発生します。死差益・利差益・費差益の3つをしっかり区別しましょう。
問5.予定事業費率が高くなるほど、付加保険料が多くなるため、保険料全体は高くなる。
✅ 正しい
予定事業費率↑→付加保険料↑→保険料↑の関係です。ネット保険が代理店型より保険料が安い理由の一つは、予定事業費率が低いからです。